みなさんの得意なことはなんですか?趣味はなんですか?
それらを好きになったキッカケを覚えていますか?
子どもたちの「好き」をみつけるキッカケを与えてあげたいと思っているあなたへ。
「成功体験」は魔法のおまじない
「成功体験」はとても大きな力を持っています。
とくに子ども時代の成功体験は、その後の人生を豊かにしてくれるキッカケになるかもしれません。
日頃の体験や周りの人からの声掛けは、ときに、性格や人格形成にまで影響します。
ここでは私の実体験もご紹介しつつ成功体験の大切さと、声掛けのポイントをお伝えします。
「勘違い」でプロスポーツ選手になれる
生まれ月との関係
Jリーグ選手(プロサッカー選手)を例にお話ししたいと思います。
2022年時点のJ1~J3に登録されている選手を生まれ月ごとにみると、以下の割合になります。
・4月~6月生まれ 約33%
・7月~9月生まれ 約31%
・10月~12月生まれ 約21%
・1月~3月生まれ 約15%
上半期生まれの選手が全体の約6割を占めることがわかります。
さらに4半期ごとの出生割合で比較すると、4月~6月生まれは1月~3月生まれの2倍以上です。
プロまで上り詰める選手ともなれば、幼少期からサッカーチームに所属して競技に慣れ親しんでいた、という話をよく聞きます。
新年度が4月から始まる日本の教育制度においては同じ学年であっても4月生まれと3月生まれで約1年の差があるところからスタートしますから、特に体がぶつかったり、体力を必要とするスポーツでは、幼い時ほどその1年の差が影響するかもしません。
上半期生まれは「自分は優れている」と思い込む機会が多い
生まれ月で成長に差があるのは確かですが、成長のスピードはひとりひとり違います。
そして「成長の差」は成長とともにいずれ無くなります。
プロスポーツ選手ともなれば、なりたい!と思って簡単になれるものではありませんし、幼少期の身体機能や技術がそのまま比例するとは考えられません。
では、なぜプロスポーツ選手になれた人に上半期生まれが多いのか。
それこそが、幼少期の「勘違い」「思い込み」なのです。
例えば、サッカーを始めたときにチームメイトよりも少し足が速ければ、みんなよりもボールに触れる機会が増えます。
ボールに触れる機会が増えれば、周囲の人々の目にとまる機会が増えます。
活躍できてもそうでなくても、「頑張ってたね!」「つぎも頑張って!」と言われる機会が増えるでしょう。
すると本人は「自分はサッカーが上手」「みんなが応援してくれている」と思い込みます。
この「思い込み」こそが翌日の練習やその後のレベルアップへのモチベーションに繋がるのです。
これはサッカーだけでなく、自分と他人を認識し比較できる年齢であれば全ての行動にいえることです。
自分でご飯が食べられる、ひとりで靴が履ける、みんなより大きな声で歌える、みんなよりボールを遠くまで投げられる。
大人にとっては単なる「成長過程」であっても、子どもにとっては自慢の「長所」になるのです。
「勘違い」は生きていくヒントになる
前述のとおりJリーグに所属するプロサッカー選手の生まれ月をみてみると上半期が多いことがわかりますが、日本代表になる選手の生まれ月をみると実は上半期も下半期もほとんど差がありません。
つまり、「自分は優れている」という勘違いで一定レベルまでは到達できる、
そしてその先のレベルに達するには努力や才能が必要になってくる、ということです。
ここでお伝えしたいのは「上半期生まれの子は有利ですよ」なんてことではありません。
「勘違い」「思い込み」でプロスポーツ選手になれる可能性が上がるのであれば、子どもたちが健康に、楽しく、自分らしく生きていくヒントは、日常にたくさん、たくさん溢れているのだということです。
エピソード:性格が一変!クリスマス会での出来事
初めての保護者参観イベント
ここで息子のエピソードを1つご紹介します。
オリンピックイヤーになるはずだった2020年、全世界で猛威を振るうことになる未知のウイルスが日本でも確認されたころに息子は生まれました。
そのときはこんなにも長い時間、人類と未知のウイルスが戦うことになるなんて想像もしていませんでした。
1歳になると同時に保育園に入りましたが、保育参観やイベント関係はすべて中止。
毎日の連絡帳と先生方が撮影してくれる日々の写真だけが子供の様子を知ることのできるツールでした。
入園から約1年半、2022年の冬です。全国的にコロナ感染が落ち着いたタイミングで保育園のクリスマス会が開催されることになりました。
学年ごとに開催時間を分け、参観できるのは児童1名に対し保護者1名、保護者はマスク着用と、感染対策を総じての開催でしたが初めての保護者参加イベントをとても楽しみにしていました。
息子は普段から大きな声を出したり、お友達の輪にどんどん入っていけるタイプではありません。
いつもと違う雰囲気や初めて会う保護者の方々に驚いて泣いてしまうかな~?なんて想像しながら、息子に「ママ、クリスマス会とっても楽しみにしてるね!」と伝えていました。
まさかのエンターテイナー登場!
クリスマス会当日、かわいく装飾された教室にBGMが流れ、いよいよ登場!
舞台袖からモジモジと出てきました。
早速数名が泣き出しますが、予想外に息子はニコニコとこちらに手を振っています。
最初はアンパンマン体操のお遊戯です。
いつもパワフルで陽気なT君が列をはみ出してオリジナルダンスを踊り、笑いが起こります。
そして次の瞬間、なんと、息子はみんなが並ぶ列から3歩ほど前に出て踊り始めたのです!
2人のハチャメチャな踊りに会場は終始笑いに包まれました。
その後も1時間程のクリスマス会を満喫して帰宅。
夜はスマホで撮影した動画を家族と一緒に観ながらまた大笑いです。
息子も「へんなダンス踊っちゃった~!」と嬉しそうに笑っていました。
「みんなが笑ってくれた」という成功体験
そして、その日から息子は変わり始めました。
突然ロボットダンス?のようなふざけたダンスをしたり、変な顔をして笑わせてきたり、明らかに陽気なキャラに進化しているのです。
保育園のクリスマス会で「面白いことをするとみんなが笑ってくれる」と思ったのか、
笑ってもらうことに快感を感じたのか定かではありませんが、とにかく笑いを取りにくるようになりました。
初めて会う人を前に、「挨拶しようか!」というと、とてつもなく大きな声でフルネームに君まで付けて自己紹介をします。声が大きすぎて逆に聞き取れず、相手が笑ってくれると満足そうに「ふふふ~」と笑います。
息子は「人前で自分をアピールする」ことの楽しさを知ったのだと思います。
「みんなが笑ってくれた」というとても些細なことですが、息子にとっては大きな成功体験になったようです。
きっかけは何であれ、毎日を楽しく過ごすきっかけになったのであれば母としてこれ以上嬉しいことはありません。
子どもたちに「成功体験」というプレゼントを
日々の「できた!」は、立派な成功体験
「成功体験」と聞くと、かけっこで1番だったり、コンクールで入賞するなど、分かりやすい第三者からの評価をイメージしがちですが、そんなことはありません。
その子本人が「できた!」と思うことが「成功体験」であって、第三者の評価は必要ないのです。
自分が「できた!」と思ったとき、周りの人から「できたね!」「頑張ったね!」と声を掛けられたらどうでしょう。
大人だって嬉しくて、「そうなの!できたの!」と言いたくなるはずです。
「成功」するためにはチャンスが必要
日々成功体験を得られるように、ぜひたくさんのチャンスをあげてください。
なんでもいいんです。
上手にできたら、一緒になって盛大に喜びましょう!「できたね!」「ありがとう!」「助かる~!」と。
きっと大人がやるよりも何倍も時間がかかりますし、見栄えの良い結果ではないかもしれません。
仮に上手に出来なくても、子どもが生活の一部で役割を担うことは悪いことではないと思います。
「頑張っててかっこよかった!」「またお願いしていい?」と、次につながるように声を掛けてあげましょう。
「成功」するチャンスをあげたいのはもちろんですが、失敗があるからこそ成功することに喜びを感じられるのです。
大人は子どもにチャンスを与えることが「できた」。子度はも挑戦することが「できた」。
それだけで立派な「成功体験」だと思いませんか?
今日からできること
まずは5分、みつめてみる
現代人はとても忙しい。
現代しか知らない私ですが、毎日の生活のなかでそう思うことが多々があります。
情報が溢れていて、より良い生活を、より良い教育をと思えば思うほど、時間や目に見えない何かに追われしまいますね。
ただ、そんな忙しい大人の生活についていこうと、子どもたちも必死で頑張っています。
毎日でなくても、週末だけでも構わないので、ぜひ5分間子どもたちを観察してみてください。
子どもたちから呼ばれてから目を向けるのではなく、呼ばれる前に子どもたちを見てみてください。
どんな表情で、なにをしているのか。
忙しい中での5分はちょっと…というときは、3分でも構いません。
子どもたちを観察してみると、魔法をかけるヒントが見つかるはずです。
子どもは「好き」を見つける力をもっている
散歩に行ったり、家の中で自由に遊ばせてみると、子どもたちは意外なものに興味を示すことがあります。
変わった形の石や、花びらの落ちた花。紙1枚が挟まるくらいのドアの隙間や、丸まった新聞紙。
手が汚れちゃう!また部屋が散らかる!と、大人が先回りして「触らないで!」と言ってしまいそうになりますが、たまには声を掛けずに見守ってみましょう。
何が気になったのか、どうやって遊びたいのか、子どもたちの頭の中を少しだけ知ることが出来ます。
本来、子どもはみんな「好き」「楽しい」を見つける力をもっています。
しかし大人の生活に合わせるうちに、その気持ちを表現しないことを覚えしまうことがあります。
子どもの「好き」に気づけたときは、「素敵だね」と受け止めてあげたいですね。
たくさんの子どもたちが魔法のおまじないにかけられて、「好き」にかこまれて、毎日を健康に楽しく、自分らしく生きていけますように。
おわり
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